建設業の人手不足に効く工務店の採用戦略|100億企業の実践
結論:建設業の人手不足を突破する鍵は「営業から採る」こと
建設業の人手不足は、もはや景気の波ではなく構造の問題です。今回の動画で小倉は、福岡県で100億規模まで伸ばした住宅会社の経営者をゲストに迎え、「工務店の採用がムズすぎる件」をテーマに、現場で実際に回っている採用の考え方を聞いています。ゲストの会社は社員数100名以上、動画内では「たった7期で成長率ナンバーワンビルダー」になったと紹介されています。
先に、動画で語られた要点をまとめます。
- 新卒に中途半端に手を出さない。中小工務店はまず中途。年齢は20〜40代まで、理念に共感するかで判断する
- 直間比率(営業と間接部門の割合)を40%未満にしない。設計や工務から先に採ると利益を生まない人員が増える
- 採用計画に離職を織り込む。離職率10%程度が適正で、30人の会社なら年に2〜3人は辞ける前提で組む
- 母集団はリファラル>人材紹介>媒体。媒体費は固定費、紹介手数料は変動費という発想
- 面接で見るポイントは5つ。接客以外の場面、笑う力、女性は女性に見させる、半年間の契約社員、裏取り
「設計が足りない」「工務が回らない」と感じている経営者ほど、真逆の打ち手を勧められているのがこの動画の面白いところです。
なぜ工務店の採用はここまで難しいのか
動画の冒頭、ゲストは住宅業界の採用環境を「不人気業種×衰退業種」と表現しています。人気がなく、市場も縮んでいる。だからこそ難しいが、勝ち筋はあるという前提で話が進みます。
特に難しいのが20代の採用です。ここで論点になるのが新卒か中途か。ゲストは「新卒はかなり覚悟を決めないと難しい。下手に手を出すと失敗する」と話しています。理由は時間軸です。新卒採用は大学3年の6月に始まり、4年の春に内定を出し、そこから1年待つ。動画内では1年半がかりの長期戦だと語られています。さらに入社後の育成を担う人が中小工務店にはいない。だから「中小工務店はまず中途から狙う」というのが結論です。
年齢については、20代・30代はもちろん、40代でも会社の理念に共感してくれる人なら十分ありだと話しています。年齢で足切りするより、理念への共感で見たほうが母集団は広がるという考え方です。
採用ミスの正体は「直間比率」と「離職ゼロ前提の計画」
地域工務店が陥りがちな落とし穴として真っ先に挙げられたのが、直間比率でした。営業(直接部門)と設計・工務・管理など(間接部門)の割合のことです。
動画で語られた基準は明快です。10人の会社なら最低4人は営業。40%は絶対に切らない、できれば50%を超えていたほうがいい。配置を考えずに採用すると設計や工務を採りすぎ、一方で営業はきつい仕事なので辞めていく。結果として「営業崩れのマーケティング担当」のような、利益を直接生まない社員が社内に増えていき、それが倒産につながる——そういう構造だと説明されています。
もうひとつの落とし穴が、採用計画に離職を入れていないこと。ゲストは「離職率ゼロはない」と断言し、10%程度が適正だと話しています。30人の会社なら翌年に2〜3人は辞けている、くらいで見るのが健全だという考え方です。離職ゼロで計画を立てるから、毎年後手に回り、常に人材不足の状態から抜け出せない。
| ありがちな考え方 | 動画で語られた考え方 |
|---|---|
| 設計・工務が足りないから先に採る | まず営業。直間比率40%を死守、50%超が理想 |
| 離職ゼロを前提に必要人数を計算 | 離職率10%を織り込んで採用枠を組む |
| とにかく人数を増やす | 利益を生む配置になっているかで見る |
設計については「最悪、外注でもいける」とまで話されています。社内に抱えるべき機能と、外に出せる機能を切り分ける発想です。
母集団の優先順位はリファラル→人材紹介→媒体
「求人媒体に出すか、紹介で頑張るか」という質問に対して、動画で示された優先順位は次の通りです。
- リファラル(社員紹介)……人柄の裏が取れているため最優先
- 人材紹介会社……成功報酬型。4社ほど契約しておくのが勧められています
- 求人ポータル・転職媒体……最後
媒体が推されない理由は、コストの性質にあります。動画内では、120万円ほどを払って掲載枠を6本買うようなチケット制の例が挙げられ、「先にお金を払っているから元を取ろうとして、ギリギリの人でも採ってしまう」という心理が問題だと語られています。媒体費は固定費、人材紹介の手数料は変動費。紹介は決まらなければ払わなくてよく、手数料は「2割〜3割、だいたい35%くらい」と動画内で説明されています。変動費なら「この人はギリギリだから断る」と冷静に判断できる、というのが論点です。
さらに、中小工務店には人事部がなく、社長が兼任しているケースがほとんど。媒体を使えば社長自身が媒体会社との打ち合わせ、原稿作成、面接設定まで抱え込むことになります。紹介会社を使えば面接設定まで入れてくれるうえ、候補者に自社の魅力を事前に伝えて口説いてくれる。動画では、これを「人事の外注」と表現し、しかもその役割分は手数料に含まれていて追加費用がかからない点が強調されていました。
なお、紹介会社ごとに強い地域・弱い地域があるため、複数社と契約して母集団を厚くするのがよいと話されています。ゲスト自身も住宅・不動産業界に特化した人材紹介サービスを手がけていると語られており、詳しい内容は動画内および概要欄で案内されています。
面接で見る5つのポイント
動画の後半は、面接の見極め方です。「質問することは皆だいたい同じ。見るポイントが決まっている」として、5つが挙げられました。
| 見るポイント | 動画で語られた具体例 |
|---|---|
| ① 接客以外の場面を見る | 駅まで送った帰り、バックミラーで必ず見る。お辞儀ができる人かどうか。面接中は全員いい顔をする |
| ② 声をかける側かどうか | インターンの昼休憩で、自分から声をかける人を採る。住宅は営業・設計・工務のリレーで決まる団体競技だから |
| ③ 女性は女性に見させる | 女性社員を面接に同席させたところ、自分には見抜けなかった点を指摘されたという経験が語られています |
| ④ 最初の半年は契約社員 | 3か月の試用期間では人格まで見えない。半年で見極め、その後に無期契約へ |
| ⑤ 裏を取る | 前職の評判をルートをたどって確認。最も難易度が高いが、外すと損失が大きい |
③に関連して、幹部候補など重要ポジションでは面接後に会食をセッティングし、自分は1時間ほど席を外して幹部と候補者だけにする、という手法も紹介されています。緊張が緩んだ場面での本音を、翌日に幹部から聞く狙いです。
また、ゲストが独自の判断軸として挙げていたのが「笑う力」。笑わせる力ではなく、自分が笑える力のことです。面接であえてそれほど面白くない話をして、そこで笑えるかどうかを見る。笑うハードルが高い人はコミュニケーション力が低く、社内で設計や工務が話しかけづらくなり、「報告しようか、やめておこうか」という境目でミスが起きる、という説明でした。
④については、半年間の契約社員制度を、キャリアアップ助成金と組み合わせている点も語られています。半年後に無期契約へ転換する際に賃金を3%上げることで助成金の対象となり、動画内では「50万円くらい入る」と触れられています。制度としての正確な要件は必ず最新の公的情報をご確認ください。なお、この半年で退出してもらったのは過去に2人だとのことです。
⑤の裏取りについては、経歴も人格も面接では完璧だった人物を採用した結果、顧客にあることないことを言って行方不明になり、500万円ほどの損失が出たという失敗談も語られています。前職に確認したところ同じことをしていたと分かった、と。「面接で見抜くのは本当に難しい」という言葉は、採用を社長一人で回している会社ほど重く響くはずです。
明日からやること
- 直間比率を計算する。今の社員数のうち営業は何人か。40%を切っていないか。切っているなら次の採用は営業に振り向ける
- 来期の採用計画に離職を織り込む。社員数×10%を「減る前提の人数」として先に引く
- 採用ページの見た目を点検する。動画では「中身より見た目。デザインが洗練されているかが一番大事で、コンテンツを読み切る人は少ない」と語られています。ホームページの中に採用ページがあれば十分
- 人材紹介会社を複数社リストアップする。成功報酬型を軸に、まずは面談から。地域による得手不得手があるため、1社で判断しない
- 面接のチェック項目を5つに整理する。誰が面接しても同じ観点で見られるよう、言語化して社内で共有する
よくある質問
Q. 新卒採用は完全にやめたほうがいいのですか?
動画では「やめろ」ではなく「覚悟を決めてやるか、やらないか」という整理でした。中途半端に新卒と中途を並行させる理想はない、という言い方です。1年半の長期戦を戦える体制と、入社後に育成を担える人がいるかどうかが分かれ目になります。
Q. 半年間の契約社員にすると、応募者が敬遠しませんか?
同じ質問が動画内でも出ています。返答は、「うちの会社は全員いい人ばかり。なぜなら半年間の契約社員制度があって、この間に合わない人には退出してもらっているから、残った人しかいない」という説明を候補者にそのまま伝えている、というものでした。制度をマイナスではなく、既存社員の質を裏づける材料として語る発想です。実際の運用にあたっては、労働条件の明示など法令上の手続きをご確認ください。
Q. 人材紹介は手数料が高くありませんか?
動画では「年収の2〜3割、だいたい35%くらい」と語られたうえで、決まらなければ払わなくていい変動費である点が重視されていました。媒体に先払いする固定費と比べ、妥協採用を避けられること、人事機能を外注できることを含めて判断すべき、という整理です。
まとめ
建設業の人手不足を「採れない」で終わらせず、配置・計画・チャネル・見極めの4点に分解したのが今回の動画でした。営業比率40%という具体的な線、離職率10%を織り込む計画、固定費ではなく変動費で母集団をつくる発想、そして面接では見えないところを見るという5つの視点。いずれも、明日から自社の数字に当てはめて検算できるものばかりです。
続きや実際のやり取りは動画でご覧ください: YouTubeで動画を見る
採用計画づくりや求人原稿の整理など、手は足りないが止められない業務も出てきます。工務店×AIの実務は、AI業務代行『マルオくんAI』(株式会社ウィズモー提携)に丸投げできます。
監修:株式会社ウィズモー(工務店の事業促進・社内改善支援)
