追加工事トラブルを防ぐ契約時の「一言」3選

「サービスでやっといて」——その一言が利益を溶かす

追加工事トラブルを防ぐ契約時の「一言」3選 の要点

木造二階建ての改修現場。基礎を解体したら、想定になかった土台の腐りが出てきた。施主に「交換が必要です」と伝えると、返ってきたのは「え、それって最初の見積もりに入ってるよね?」。現場監督は気まずくなって、つい「まあ、少しは調整しますよ」と口を濁す。結局、十数万円の材工が請求できずに終わる——。

地域工務店の経営者なら、一度は身に覚えのある光景ではないでしょうか。追加工事のトラブルは、腕の問題でも、施主の人柄の問題でもありません。ほとんどが「契約のときに、ある一言を言っておかなかった」だけで起きています。逆に言えば、契約時のたった一言と、その場でできる小さな習慣で、大半は防げます。今日はその具体的な言い回しを、現場で使える形でお渡しします。

なぜ追加工事はもめるのか

「言った・言わない」は記憶の勝負にしてはいけない

追加工事の代金が回収できない一番の原因は、金額でも工期でもなく「口約束のまま進めてしまうこと」です。施主は「大した話じゃないと思っていた」、こちらは「了解をもらったつもりだった」。悪気のないすれ違いが、引き渡し間際に一気に噴き出します。

大工歴の長い職人ほど「現場で口頭で決めて進める」ことに慣れています。それ自体は現場を止めない良い判断力です。ただ、お金が絡む話だけは、記憶ではなく記録に残す。ここを分けて考えるのが第一歩です。

施主は「工事の常識」を知らない

解体してみないと分からないこと、地中で何が起きているか、下地の傷み——私たちには当たり前でも、施主にとっては初めての経験です。「追加が出ることもある」という前提を共有しないまま契約すると、追加=手抜き見積もり、と受け取られてしまう。ここのボタンの掛け違いを、契約時の一言で正しておきます。

契約時に言っておく「一言」3選

その1:「見えない部分は、開けてから判断になります」

契約の場で、こう添えるだけで空気が変わります。「壁や床を開けてみて、下地に傷みがあれば追加でご相談させてください。今の金額は、今見えている範囲での見積もりです」。

これは値上げの予告ではなく、誠実な線引きです。施主は「じゃあ開けたら教えてくれるんだな」と理解します。実際に腐りが出たとき、「契約のときにお話しした、開けてからの判断の件です」と切り出せる。これだけで会話の入り口がまったく違います。

その2:「追加が出たら、必ず金額を出してからにします」

もめる現場の共通点は、金額の合意より先に手が動いてしまうこと。だからこそ契約時に、自分たちのルールとして宣言しておきます。「追加工事が必要になったら、勝手には進めません。まず金額と内容をお出しして、ご了承をいただいてから着手します」。

施主にとっては安心材料であり、自社にとっては「承認前は動かない」という現場の歯止めになります。職人が良かれと思って先に手をつけてしまう——この善意の暴走を止められるのは、契約時の一言だけです。

その3:「小さな追加も、その日のうちに一枚残します」

数千円〜数万円の細かな追加が、積み重なって最後にもめます。「コンセント一つ増やす」「棚板を一段足す」。こうした話こそ、口頭で流さず、その場で一枚の書面に残す運用を伝えておきます。「細かいご要望も、後で行き違いにならないよう、その日のうちに紙一枚で確認させてください」。

明日から実行する、たった一枚の仕組み

「追加工事確認シート」を一枚だけ用意する

難しい書類は要りません。A4一枚に、日付・追加内容・概算金額・施主サイン欄・自社サイン欄。これだけです。現場でスマホ写真を撮ってその日のうちに共有すれば、記録として十分に機能します。

  • 日付と場所:いつ、どの部屋の話か
  • 内容:何を追加するか(素人が読んで分かる言葉で)
  • 概算金額:確定でなくても「◯万円程度」と幅で書く
  • 両者のサイン:施主と現場責任者、二人の名前

朝礼で「金額の話は自分で決めない」を徹底する

職人一人ひとりが施主とその場で金額を約束してしまうと、収拾がつきません。「追加とお金の話が出たら、いったん持ち帰る。決めるのは事務所」。この一線を社内で共有するだけで、現場発のトラブルは大きく減ります。

まとめ:一言と一枚が、利益と信頼を守る

追加工事のトラブルは、値引き交渉のうまさで乗り切るものではありません。契約時に「見えない部分は開けてから判断」「金額を出してから着手」「小さな追加も一枚残す」——この三つを言葉にし、A4一枚のシートで運用する。たったこれだけで、「言った言わない」の消耗戦から抜け出せます。

そして忘れてはいけないのは、この一言が施主の不信ではなく信頼を生むということ。事前に線を引いてくれる会社は、施主から見て「誠実で分かりやすい会社」です。トラブル防止が、そのまま次の紹介につながっていきます。

こうした確認シートのひな型づくりや、契約書への一文追記、現場との共有ルールの整備といった細かな事務作業は、工務店×AIの実務として、AI業務代行『マルオくんAI』(株式会社ウィズモー提携)に丸投げできます。

監修:株式会社ウィズモー(工務店の事業促進・社内改善支援)

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