工務店の倒産はなぜ起きるのか|売上21億・フェザーホーム事業停止の教訓

結論:工務店の倒産は「売上不足」ではなく「支払いと入金の順番」で起きる

売上が伸びている会社ほど安全である——多くの経営者が無意識に置いているこの前提を、今回の動画は正面から崩しにいきます。テーマは、創業から数年で売上20億円超まで駆け上がった住宅会社フェザーホームさんが、事業停止に至ったというニュースです。

動画の中で小倉は、引き金になったのは受注の少なさではなく、「先に出ていくお金」と「後から入ってくるお金」のタイミングのズレだったのではないかと語っています。工務店の倒産が怖いのは、直前まで数字が良く見えることです。受注残は積み上がり、売上は過去最高、社内の空気も明るい。その裏側でキャッシュだけが細っていく。動画はこの構造を「売上イコール安心ではない」という一言に凝縮しています。

  • 売上が伸びるほど、支払いも同じスピードで膨らむ
  • 高付加価値・高単価の商品ほど、原価も高単価になる
  • 耐えられる受注量を知らないまま棟数を増やすのが最も危険

背景:創業数年で売上21億、業界が注目していた会社

まずは前提の整理です。以下はすべて動画内で語られた数字・内容です。

項目 動画内で語られた内容
設立 2021年2月
エリア 北海道・札幌市を中心に展開
従業員 およそ20名弱
資本金 900万円
売上 2025年1月期で約21億2,500万円
特徴 富裕層向けのリゾート住宅、サウナ付き住宅ブランドなど高付加価値路線

代表は元ハウスメーカーの営業出身だったと紹介されており、小規模な立ち上げから数年で20億円を突破した急成長企業でした。小倉自身も「ホームページがとても綺麗で、ブランディング戦略も当たっていた。ここは絶対に伸びるだろうと数年前からチェックしていた」と話しています。つまり、外から見える指標はほぼ満点だったということです。

動画で語られた要因① 高単価な家ほど、先払いが膨らむ

動画がまず指摘するのは、工務店というビジネスの原価構造です。家を一棟建てるには、木材だけでなく断熱材、住宅設備、床材、壁材、電気・ガス・水道の手配、そして大工をはじめとする職人の手配まで、ありとあらゆる業者への発注が必要になります。先に出ていくお金がとにかく大きい商売だ、というのが出発点です。

そのうえで、建築資材や人件費といった原価は年々高騰しています。着工金・上棟金・最終金と分割で入金されるとはいえ、支払いが先行する構造は変わりません。小倉は「自社のキャッシュフローの限界点を超えると倒産してしまう」「売上と収益、そしてキャッシュは比例しない」と繰り返し述べています。

ここに高付加価値路線が重なります。リゾート住宅やサウナ付き住宅のような高単価商品は、当然ながら原価も高単価。棟数を増やすほど前払い金が雪だるま式に増えていきます。動画では「決定的な原因は何だったのかと考えると、やはり売上が伸びすぎたのではないか」という見立てが示され、一棟あたりの利益率が十分に確保できていなかった可能性、資金調達が追いつかなかった可能性にも触れられています。ただし内部状況は分からないとして、いずれも推測の域を出ない話として語られています。

動画で語られた要因② 尖ったブランドが足かせに変わるとき

もうひとつの論点がブランド戦略です。「うちの商品といえばこれ」という打ち出しは、地域工務店にとって定番の戦い方です。〇〇な平屋、規格住宅、アメリカン住宅、そしてサウナ付き住宅。ペルソナが定まり、受注が取りやすくなるのは確かなメリットだと動画も認めています。

問題は、その裏側です。商品を尖らせるほど、対応できる職人や外注先は絞られます。キャパシティが増えないまま受注だけを積み上げれば、施工と納品が遅れ、結果としてキャッシュフローが悪化する。さらに、尖った商品は外部環境のコスト変化や競合の模倣といった逆風に弱い、とも指摘されています。動画では、ブランドを打ち出している会社が今すぐ確認すべき点として次の2つが挙げられました。

  • その商品は、売れば売るほど原価が高くなる商品ではないか
  • その商品に対応できる職人・外注先が、限られた数に絞られていないか

「売上を上げていくフェーズと、土台を整えるフェーズを分けて考えないと経営的に問題がある」というのが、小倉の結論です。

動画で語られた4つの改善ポイント

では、どうすればよかったのか。動画では大きく4つの改善ポイントが示されています。

ポイント 内容
①粗利構造とキャッシュフローの見える化 どこまでの受注量なら自社は耐えられるのかを数値化する。年単位ではなく毎月の数字に落とし、どのタイミングで融資が必要になるかまでシートにまとめておく
②拡大思考から体質思考へ 棟数や売上ではなく、一棟あたりの粗利率・入金時期・仕入れ内容を見直す。良い体質になってから売上を伸ばす順番にする
③リスクシナリオを持つ 原価が上がったら、競合が出てきたら、外注先がなくなったら——想定リスクごとの緊急プランを事前に用意しておく
④原価管理・管理体制の強化 付加価値を追うなら、それに見合う管理体制を同時に整える。ブランドを尖らせるほど、管理が甘いとコストが爆発する

小倉は「自分であれば、受注を一定数取る前に、どのくらいの棟数なら会社が回るのかを見える化していた。危なくなったらアラートを出して受注を止めることもできたのではないか」と話しています。あわせて、うまくいっている会社の共通点として、自社で取れる棟数を正確に把握していることを挙げ、「2年待ち・3年待ちになっても、1年で取る受注計画を決め切る会社のほうが、結果的に潰れないし、キャッシュフローも回るし、従業員も守れる」と語られています。

明日からやること

  1. 直近12か月の入金予定と支払予定を、月別に1枚のシートへ書き出す
  2. 主力商品の一棟あたり粗利額・粗利率と、入金タイミングを商品別に並べる
  3. 「自社が同時に回せる棟数」の上限を数字で決め、今年の受注計画を棟数で決め切る
  4. 主力商品に対応できる職人・外注先が何社あるかを数え、1〜2社しかない工程を洗い出す
  5. 原価が上がった場合・受注が読みより多かった場合の対応を、A4一枚にまとめる

いずれも新しい投資は不要で、社内の数字を並べ替えるだけで着手できます。動画でも「資金繰りに少しでも不安が出たら、一旦受注をストップしてでもそこを整えるのが経営にとって大事」と念を押されています。

よくあるご質問

Q. 売上が順調に伸びているうちは、資金繰りを気にしなくてもよいのでは?

動画の主旨はまさにその逆です。売上が上がるほど受注残金額も増え、同時に支払いも増えます。支払いを支える会社の体力、つまりキャッシュが見えていないことが危険だと語られています。小倉は、支援先でもYouTubeやSNSからの反響で年商4億から12億へ跳ね上がった例、10億・20億を突破しようとしている例があると触れたうえで、「売上イコール安心ではない」と述べています。

Q. ブランド戦略はやめたほうがいいのでしょうか?

やめるべきという話ではありません。動画では、デザイン性や付加価値の高い住宅を提供すること自体は良いことだとしたうえで、尖らせるほど原価と外注先のリスクが増えるため、その2点をセットで管理してほしい、という整理がされています。

Q. 受注を止めるのは怖いのですが、本当に止めてよいのですか?

動画では、受注を無制限に取ることよりも、1年で取る受注量を決め切ることのほうが結果的に会社と従業員を守る、という考え方が示されています。待たせることが信用を落とすのではなく、納期遅延と経営破綻こそが地域の信頼を失う、という前提に立った話です。

まとめ

今回の動画は、特定の一社の失敗を論じるものではなく、急成長している工務店すべてに共通する構造への警告として語られています。今売れているから、ブランドがあるから——その安心が、来年・再来年も続く保証はどこにもありません。売上を求める前に体質を固め、拡大を加速する前にもしもの備えをする。まずは足元の数字を一枚のシートに落とすところから始めてみてください。

続きや実際のやり取りは動画でご覧ください: YouTubeで動画を見る

なお、資金繰り表の整備や原価データの集計といった手が回りにくい事務作業も含め、工務店×AIの実務は、AI業務代行「マルオくんAI」(株式会社ウィズモー提携)に丸投げできます。

監修:株式会社ウィズモー(工務店の事業促進・社内改善支援)

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