工務店経営とFC加盟|絶対に入ってはいけない住宅フランチャイズの見極め方
結論:工務店経営でFCを使うなら、まず「自社の弱点」を言語化してから
「小倉和の工務店支援チャンネル」の最新動画は、工務店が絶対に入ってはいけないフランチャイズ(FC)というテーマです。ゲストには、ウィズモーのパートナーとして工務店のSNSサポートを担いながら、自身も住宅関連分野でFC本部を運営されている経営者の方を迎え、本部側の立場から「選ばれる本部/選ばれない本部」の違いが語られています。
動画の結論を先に整理すると、工務店経営においてFCは売上や集客を伸ばす有効な選択肢である一方、加盟の判断は次の4点を確かめてからにすべき、という内容でした。
- ①自社に足りないポイントを補えるFCか──つまり自己分析が先
- ②自社の商圏に、似たようなFC・似た商品で成功している同業がいないか
- ③提示される成功事例が「最近」かつ「自社と近いエリア」のものか
- ④直近数年の退会(解約)社数を本部に聞いたか
逆に言えば、この4つを確認せずに「全部うまくいきますよ」という営業トークだけで判断してしまうことが、加盟金に数百万円を払ったのに成果が出ないという事態につながる、という整理です。
なぜ工務店のFC選びで失敗が起きるのか
動画の冒頭、小倉は「FCに何百万も出して加盟したのに、全くうまくいかない、全然集客できない、赤字になって事業が続かなくなった──そういう声もよく聞く」と切り出しています。工務店経営者が「自社だけでやるより、ノウハウを買って事業を加速させたい」と考えるのは自然な発想ですが、その入口の見極めが甘いと、投資が丸ごと負債になりかねません。
選択肢の多さも、判断を難しくしている要因として挙げられました。動画内で語られた数字は次のとおりです。
| 項目 | 動画内で語られた数字 |
|---|---|
| 国内のFC本部 | 全業種で約1,200社 |
| 加盟店 | 約26万店 |
| 建設業のFC本部 | 約60社(さらに細分化すればもっと多いとのこと) |
※いずれも動画内でゲストが語られた数字です。
選択肢が数十社あるのに「選び方の基準」を持っていない。これが失敗の最大の原因だと語られていました。なお本部側も誰でも受け入れているわけではなく、ゲストの本部では「言われたことを理解して実行してくれるか」「お客様対応が適切にできるか」を審査しているとのこと。相性が合わない加盟はブランド全体の崩壊につながるため、本部も断るという前提は、加盟を検討する側も知っておきたいところです。
①自己分析なきFC加盟は「意味のない加盟」になる
最初のポイントは、自社に足りない部分をそのFCが補えるかどうかです。動画では具体例として、
- 集客力が弱いのであれば、集客(反響)を供給してくれる本部を選ぶ
- 商材の強みはあるがデザイン性が弱いなら、デザインや図面に特化した本部を選ぶ
- 自社にない商品を持ちたいなら、オリジナル商品を開発している本部で武器を1つ増やす
といった組み合わせが挙げられました。言い換えれば、自社のウィークポイントを特定できていない会社は、そもそもFCに入らない方がいいという話です。「入るからには意味を持って入らなければいけないので、自己分析から」とゲストは語り、小倉もこれが「できていない会社が非常に多い」と応じています。
加えて、本部の営業は総じて上手く、「全部うまくいきますよ」という説明をされがちだという指摘もありました。その見極め方として勧められていたのが、調べればすぐ分かるところを自分でリサーチするという方法です。たとえば集客を売りにしている本部なら、本部自身のSNSやYouTubeを見れば実力が見えます。ゲストの本部の場合、会社アカウントのInstagramが1万人近くで週3〜4回投稿を継続、TikTokは4,000人規模で常に万単位の再生、YouTubeは2.1万人で月間50万再生ほど(いずれも動画内で語られた数字)。一方で「集客が強い」と言いながらフォロワーがほとんどおらず、投稿も止まっていて、動画の品質も高くない本部であれば、どちらが実際に集客できるかは検索すれば判断できる、という考え方です。
なお、集客は本部がやってくれて当たり前ではないか、という小倉の疑問に対しては、世の中のFCは「ノウハウは教えるが集客は加盟店が自分でやる」という教育型が多いという整理がされていました。どちらが良い悪いではなく、自社が求めているものと本部のスタイルが一致しているかを確認すべき、という話です。
②商圏に「似たFC」「似た商品で成功している同業」がいないか
2つ目は、商圏の重複です。動画では「自社のエリアで似たようなFCを展開している企業がすぐ近くにあるなら、やめた方がいい」とはっきり語られています。例として、輸入住宅系のFC本部から営業を受けた工務店が、周囲を見渡すと同じような商品で先行し、すでにうまくいっている同業がいた──というケースが挙げられました。
重要なのは、この情報を本部の営業担当が自発的に伝えてくれる可能性は低いという点です。伝えれば加盟してもらえなくなる可能性が高いからで、だからこそ自社で調べる必要がある、と語られていました。商圏の同業がどんな商品を売り、何を強みにしているかを把握した上で、他社がやっていない商品を持てるFCなら検討の価値がある、という判断軸です。
③過去の実績・遠方の実績を声高に語る本部に注意
3つ目は、提示される成功事例の「鮮度」と「距離」です。動画で危険信号として挙げられたのは次のようなパターンです。
| 提示され方 | なぜ要注意か(動画での説明) |
|---|---|
| 5年前・10年前にうまくいった事例ばかり | 今のトレンドに合っているかが分からない |
| 静岡で検討しているのに福岡や沖縄の事例 | エリアが違えば結果も変わり、自分ごとにならない |
| 都市部での加盟検討なのに地方の事例 | 商圏特性が前提から異なる |
「他の都道府県でうまくいっていることと、自分が拠点としているエリアでうまくいくかは、まったく違う話」という小倉のコメントは、工務店経営の現場感覚としても頷けるところでしょう。本部側の責任としても、エリア特性を踏まえた設計をしていないと加盟店の期待を裏切ることになる、という自戒も語られていました。
④「直近数年で何社やめましたか」を必ず聞く
4つ目が、動画で最も実践的だったポイントです。FCの営業を受けたら、「直近数年の退会率(やめた社数)はどのくらいですか」と質問すること。
理由はシンプルで、かつては機能していたが今のトレンドに合わなくなった本部からは、加盟店が離れていくためです。動画では「加盟店数が以前100社で今50社なら、50社がやめている。その50社がなぜやめたのかを分からずに加盟するのは怖くないですか」という問いかけがありました。ゲストの本部でも他社から乗り換えてくる加盟店が多く、その背景には金額面やメリットの実感に加え、何らかの不満があるとのこと。やめている会社が多い本部に、理由を知らずに入るのはリスクという整理です。
ちなみに、この質問には答えてくれない担当者も少なくないかもしれないと小倉は補足しています。答えられるかどうか自体が、本部の誠実さを測る材料になるという使い方もできるでしょう。
逆に「選んだ方がいいFC」の条件
動画の後半では、選ぶべき本部の特徴も語られました。
- 何かしらに特化している──集客力なのか商品力なのか、競合他社が持っていないものがあるか
- 時間を買える──たとえば運用実績のあるYouTubeチャンネルを一緒に活用できるなら、自社でゼロから育てる年数を何年短縮できるかで価値を測る
- 加盟店が減っていない、むしろ増えている
- 本部がきちんと利益を出し、加盟店も満足している
- 反響がしっかりある(=本部自身が集客できている)
「自分でYouTubeを始めたら何年かかるのか。それを短縮できるならお得だと分かる」という時間軸の考え方は、加盟金の是非を感覚ではなく投資判断として見るための物差しとして使えます。
一方で、FAXやテレアポでの勧誘が極端に多い本部については、本部が販売を急いでいるサインであり、多すぎるとやや不安だという見方も示されていました(断定ではなく、程度の問題として語られています)。
明日からやること
動画の内容を、自社でそのまま使える手順に落とすと次のようになります。
- 自社のウィークポイントを3つ書き出す──集客、デザイン、商品、施工、営業、採用のどこが弱いのかを言語化する。ここが埋まらないうちは加盟検討を進めない。
- 候補本部のSNS・YouTubeを実際に開く──フォロワー数、投稿頻度、直近の更新日、内容の品質を確認する。集客を売りにしているなら、自社集客ができているかが最低条件。
- 自社商圏の同業を棚卸しする──半径◯kmの同業が何を売り、何を強みにしているかを一覧化し、候補FCと商品が被らないか確認する。
- 本部に4つの質問をする──(1)直近数年で何社が退会したか、(2)その理由は何か、(3)自社と同規模・近いエリアの直近事例はあるか、(4)集客は本部供給か加盟店対応か。
- 加盟金を「時間」に換算する──そのノウハウや資産を自社でゼロから作るのに何年かかるかを見積もり、短縮年数と費用を並べて判断する。
よくある質問
Q. 加盟金が数百万円。元が取れるかどうかはどう判断すればいいですか?
動画では、金額の絶対額ではなく時間軸で考える見方が示されていました。その本部が持つ集客チャネルや商品を自社でゼロから作るなら何年かかるのか、それを何年短縮できるのか。短縮できる年数に見合う金額なら投資として成立する、という整理です。逆に、自社でも1年あれば作れるものに数百万円を払うのであれば、意味のある加盟とは言いにくいということになります。
Q. フランチャイズなら集客は本部がやってくれるのが普通ですよね?
小倉も同じ疑問を投げていますが、動画では「ノウハウは教えるが集客は加盟店の責任」という教育型の本部が実際には多いと語られていました。本部に依存しすぎるなという考え方であり、それ自体が悪いわけではありません。問題は、自社が集客の供給を期待していたのに教育型の本部に入ってしまうミスマッチです。契約前に「反響は本部から供給されるのか、自社で作るのか」を必ず確認しておきましょう。
Q. 退会社数を聞いても答えてもらえない場合はどうすれば?
動画でも「答えてくれる人は少ないかもしれない」と触れられていました。数字が出てこない場合は、既存加盟店を紹介してもらって直接話を聞く、加盟店一覧の過去と現在を比較する、といった間接的な確認が現実的です。開示を避ける姿勢そのものを判断材料にするという発想も持っておくとよいでしょう。
まとめ
今回の動画で語られていたのは、FCが良いか悪いかという二択ではなく、「加盟は自己責任である」という前提に立って、慎重に調べ切ってから判断するという姿勢でした。自社の弱点を言語化し、商圏の重複を確認し、事例の鮮度とエリアを問い、退会社数を聞く。この4つを踏めば、営業トークだけで数百万円を投じる失敗はかなり減らせます。工務店経営において事業を伸ばす手段としてFCを検討している方は、選択肢を誤らないために一度見返しておきたい内容です。
続きや実際のやり取りは動画でご覧ください: YouTubeで動画を見る
なお、自己分析や商圏調査、SNSの運用状況チェックといった「調べる作業」に手が回らないという工務店様も多いはずです。工務店×AIの実務は、AI業務代行『マルオくんAI』(株式会社ウィズモー提携)に丸投げできます。
監修:株式会社ウィズモー(工務店の事業促進・社内改善支援)
