工務店 経営とフランチャイズ加盟|入るべき会社の条件
結論:工務店 経営において、フランチャイズは「入るか否か」ではなく「今の自社に合うか」の問題
「商品を自社で作れないからフランチャイズに入ろうか」「ブランド力に乗って集客を増やしたい」——動画では、工務店の経営者からこうした相談が多く寄せられると語られています。小倉は工務店ブランディングの専門家である辻本さんを迎え、地域工務店はフランチャイズ(FC)やボランタリーチェーン(VC)に加盟すべきかを一本丸ごと議論しています。
結論として語られているのは、「加盟した方がいいタイミングの会社もあれば、絶対に今ではない会社もある」ということ。そしてこの線引きを理解せずに思考停止で契約してしまうと、多額の借入を抱え、集客もできず、倒産の危機を迎えかねないという厳しい指摘から動画は始まります。
裏を返せば、判断軸さえ持てば過度に恐れる必要はありません。以下、動画で語られた判断基準を整理します。
加盟が向く工務店、向かない工務店
辻本さんは「結論、その工務店さんのフェーズによる」と話しています。動画の内容を整理すると、おおよそ次のように分かれます。
| 加盟が向きやすい工務店 | 加盟を急がない方がよい工務店 |
|---|---|
| 独立直後で施工事例がほとんどない | 自社に設計力があり、デザインが顧客に評価されている |
| デザイン力に自信がない | 地域で数十年の実績とリピーター・紹介がある |
| 急いで集客したい・広告を出したい | 売れていない原因が商品以外にありそう |
FC加盟の最大のメリットは「時短」だと語られています。本来なら数ヶ月から1年がかりで、打ち合わせを重ねてデザイン・テキスト・ターゲットを決めて作り上げるパンフレット、ホームページ、展示パネル。それが加盟金を払えば明日から手に入る。この点は確かに大きいと小倉も同意しています。
一方で、すでにオリジナリティのある会社が加盟すると「規格っぽくなってしまい、今までの個性が消えてしまう」。さらに重要な指摘として、地域で50〜60年続きリピーターが多い会社が売れていないのは、商品が足りないからではなく「ブランド設計ができていない可能性が高い」と語られています。何百件ものお客様の声があるのに、それを活用できていない、そもそも声を聞けていない会社も少なくない。まずは過去に建てたお客様の中に自社の強みが眠っていないかを探すべき、というのが辻本さんの立場です。
契約前に確認すべき4つの落とし穴
動画の中盤では、実際に起きたトラブルをもとに、契約前の確認事項が語られています。
1. 同一商圏に同じFCの加盟店がいないか
大きな費用をかけて加盟したものの、後から調べると近隣の同じエリアに同じFCの加盟店が何社もあった、という相談があったと語られています。商品で差別化するために入ったのに、商品の差別化ができない。そうなると別の軸を探さねばならず、加盟の意味そのものが消えてしまいます。しかも同じ商圏で同じ商品を売れば、勝つのは資本力のある会社。広告費、パンフレット、営業体制、設計力——体力差でそのまま押し切られてしまう、という指摘です。
2. 本部自体に集客力があるか
かつては「商品がない」「ツールがない」が加盟理由の中心でした。しかしSNSが前提になった今は、本部自体の集客力が問われると語られています。集客力が弱いから加盟したのに本部の集客力も弱ければ、「いい商品を持っているのに誰も知らない」という最悪の状態になる、と。
3. 「イベントをやってください」の中身
本部からは商品パッケージとツール、そして推奨の集客イベントが提供されるのが一般的。しかし会場の確保、チラシや広告の手配は加盟店任せというケースも多い。結果として、動画内では「400〜50万円をかけて集客イベントをやったら来場1組だった」という例も語られています。取り返しがつかない出費です。
4. 支援の実体は「研修」か「個別指導」か
支援というと研修会、エリア会、年1回の全国大会といった話になりがちですが、小倉が重視しているのはそこではありません。自社としてそのブランドを事業として立ち上げ、受注に乗せるためにやるべきことは会社ごとに違う。その個別指導をしてくれる環境があるか、が肝だと語られています。辻本さんも、同じ商品でも地域によって受け取られ方が違い、都市部と地方で顧客ニーズも異なるため、打ち出し方のカスタマイズが必ず必要になると補足しています。
成功事例と加盟金——数字に惑わされない
「都市部で成功した事例を地方に持ってこられてもうまくいかない」。これはFCのあるあるだと二人とも口を揃えています。さらに辻本さんは、成功事例そのものの危うさに踏み込んでいます。そこに至るまでの前提や経緯は隠されがちで、「本当は別の要因で成功したのに、あたかもこの商品が良かったからという形になっている事例はおそらく相当ある」と語られています。事例だけでFCを選ぶべきではない、という結論です。
判断材料として挙げられていたのは、むしろ「ここ数年で急成長しているか」。店舗数の多さを安心材料にするのではなく、成長率を見る。かつて流行ったが今は求められていないデザインもあるため、直近で伸びているFCは現在の顧客ニーズと合っている可能性が高い、という見方です。
費用についても、動画内で語られた目安が示されています。
| 項目 | 動画内で語られた目安 |
|---|---|
| 月額ロイヤリティ | 10〜20万円程度 |
| 加盟金 | 100万〜300万円程度 |
| 年商1億円規模の年間広告費 | 数百万円程度 |
ここから導かれる注意点が、加盟金で広告予算を使い切ってしまう危険です。年商1億円規模の会社が加盟金に300万円を払えば、それで1年分の予算が終わってしまう。「ツールは全部揃ったのに広告が打てません」という本末転倒が起きます。動画では、年間予算500万円のうち100〜200万円が加盟金で、残りで広告が打てる余剰があるなら成立する、という考え方が示されています。全力投球は危険、ということです。
もう一つ、耳の痛い指摘もありました。加盟した時点で満足してしまう会社が「めちゃくちゃある」。ビジネス書やダイエット本を買った瞬間に、なんとなくできそうな気がしてしまうのと同じ構造だと語られています。FCの研修会で「集客が厳しくてね」と言い合う時間があるなら、今日から集客に動いた方がいい——小倉の言葉です。
FCは「いつか卒業する」前提で選ぶ
辻本さんの立場で最も明確だったのは、「FCはどこかのタイミングで卒業してほしい」、少なくとも加盟しながらも自社オリジナル商品は必ず作ってほしい、という点です。
理由は「自社の強みを他社に依存してはいけない」から。たとえばそのFCで不正な申告などブランド毀損に当たることが起きれば、加盟店もまとめて毀損の影響を受けます。他業界でも起きていることです。
だからこそ選ぶ基準は、事例や知名度ではなく理念の近さ。自社のビジョンが実現できる商品を持っているか、自社の目的と理念が離れていないか。たとえば「家族の健康を実現したい」という目的で家づくりをしている工務店なら、健康に通じるFCを選び、ノウハウを得て卒業する。これが理想形として語られています。
なお、複数のFCに同時加盟することには明確に否定的でした。自然素材系、外壁タイル系、輸入住宅系と掛け持ちすると、「お客様にどれが一番いいのかと聞かれた時に明確な答えが出せない」。結局何を売りたいのかがぶれる、と。やるなら事業部とスタッフを分けるべきで、地域工務店が取る戦略ではないという見解です。
明日からやること
- 検討中のFC名で自社商圏を検索する:同じFCの加盟店が商圏内にいないか、自分で調べる。本部から教えてもらえるとは限りません。
- 年間予算の内訳を紙に書く:加盟金+月額ロイヤリティを引いた後、広告に回せる金額がいくら残るかを先に計算する。
- 過去の顧客の声を棚卸しする:引き渡し済みのお客様に、なぜ自社を選んだのかを改めて聞く。強みは社外ではなく過去の施主の中にある可能性があります。
- 本部に「当社は何をすべきか」を聞く:研修や全国大会の案内ではなく、自社の地域・体制に合わせた個別指導があるかを契約前に確かめる。
- 成長率を確認する:店舗数ではなく、直近数年の加盟店の伸びとその背景を調べる。
- 卒業の出口を決めておく:契約期間(何年抜けられないか)と、自社オリジナル商品をいつ作り始めるかを同時に決める。
よくある質問
Q. 施工事例もデザイン力もある会社は、FCに入る意味がないのでしょうか
動画では、そうした会社には勧めないと語られています。規格的になりオリジナリティが失われるリスクがあるためです。売れていないのであれば、商品を変えるのではなく、集客できていない別の原因を疑う方が先だという立場でした。
Q. FCに入らずに成果を出す方法はありますか
鍵は戦略設計だと語られています。自社でできるならそれが最善。難しければ、戦略から商品づくり、プロモーションまで一貫して見られる外部パートナーと組む選択肢が挙げられていました。会社に頼むと高額になるため、実績があり伴走型で支援できる個人に頼む方が近道ではないか、という見解も示されています。
Q. 複数のFCに入って商品の幅を広げるのはどうですか
「一番やってはいけない」と語られています。セレクトショップのようになり、自社が一番だと胸を張って言える商品がなくなるためです。どうしてもやるなら事業部とスタッフを分ける前提であり、地域工務店が取るべき戦略ではないとされていました。
まとめ
動画のまとめとして小倉が挙げたのは、「工務店は目的に合わせてフランチャイズを選ぶべき」「入る前に、まず自社に合っているかをしっかり調査してから選定する」という2点です。FCそのものに良し悪しがあるというより、実際に動かすのは地域工務店の現場であり、ちゃんとやればどのFCでも可能性はある——小倉はそう話しています。だからこそ、加盟は目的達成の手段であり、ゴールではないという前提を外さないことが重要になります。
続きや実際のやり取りは動画でご覧ください: YouTubeで動画を見る
なお、商圏調査や顧客の声の棚卸しといった地道な作業に手が回らない場合、工務店×AIの実務は、AI業務代行『マルオくんAI』(株式会社ウィズモー提携)に丸投げできます。
監修:株式会社ウィズモー(工務店の事業促進・社内改善支援)
